開放的で閉鎖的、アートの街の精神を表現する「colonia pictorilor」
ルーマニア北部にあるBaia Mare は、行政がモダンアートを推奨している街。
そんな街中では、道を歩いただけで非日常に誘われることがあります。それを引き起こす建物のひとつが、「Colonia Pictorlior」です。
道路に面した入り口を進むと、我々をアートの世界へと導く刺激的な空間が広がっています。
基本的な役割は、作品展示や出版物の販売をしたり、広告媒体になったりと、アート発信センターのような建物です。
大抵の展示施設は入り口を進み、受付をすませ、それから普段とは異なる空間へと向かいますが、「Colonia Pictorilor」の場合、一歩踏み入れただけで非日常へ入り込めます。この建物は日常と非日常の狭間に存在しています。
「Colonia Pictorilor」は、閉鎖的かつ開放的といった相反するものを同時に存在させることで、アートへの衝動を駆り立てる空間にしようという狙いがあるようです。そして、それを演出するのに適したのが建材として使われているコンクリートなのだとか。もしかしたら、相反するものの共存こそが芸術なのかもしれません。
「開放的」と「閉鎖的」といった相反する要素を混在させ、道端から一歩踏み込んだだけでクリエイティブな世界に引き込む。パブリックとクリエイティブの間に存在している。相反するものの共存、何かと何かの狭間に存在すること、このふたつが芸術の何たるかを物語るようですね。
「Colonia Pictorilor」は、Baia Mare の芸術に対する姿勢を表現した建物とよばれているようです。
建物によって、その街の文化や色合いが見えてくるなんて素敵ですね。「住む」以外にも、表現や、意志のようなものをリードする役割もありそうです。
要素と要素の狭間に存在すること、相反するものを共存させること。Baia Mareを見事に表現した「Colonia Pictorilor」、ぜひ一度は訪れてみたいですね。